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猫が呼ぶの・・・


by rudyn
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United 93

本日公開の映画です。


先日、機会があって試写会でこの映画を見ました。



別の映画を見に行ったとき予告を2度見たのですが、
「いつもどおりの日常」が「恐怖」、そして、「決断」に至るさまが
胸を締め付けられる思いがして、予告ですら、涙が止まらなくなって
しまいました。


映画は時系列に淡々と進んでいきます。

夜明け前のニューヨーク。
それぞれの日常。

乗客たち。
仕事の電話をする者、
家族に連絡をする者、
出発を待つ者。

乗員たち。
機内へ向かう者。
出発の準備をする者。

管制関係者たち。
当日着任したばかりのセンター長。
夜勤からの引継ぎをする者。
天候はよく、いつもの通り混雑し始める上空。


そして、
最初の兆し。

管制部内や軍司令部にて飛び交う情報。
正しいものか、不確実なものか。
一瞬の判断ミスは許されない。

そのとき、
CNNで恐ろしい映像が流される。

ユナイテッド93便は何も知らず、
いつもどおりの飛行を続けている。

そして・・・。



全体として、淡々と、機内と、管制や軍の様子が
映し出されていき、終わりに近づくにつれ、機内の様子が
主になっていきます。
乗客が自分たちが置かれた状況に、本当の状況に気づき、
どうすべきか、決めていくときの姿が、
やはり淡々と描かれていきます。

その淡々とした描写が、
「感動したい」と思って見たものには肩透かしを食らうかもしれません。
予告から受ける印象と少々異なることに戸惑うかもしれません。

しかし、まだたった5年しかたっていないことを考えれば、
必要以上に感情を揺さぶらせるような表現がないほうがよいように思います。







エンドロールにて、管制センターや軍関係者のリストにて、
その多くに
「本人」
とあります。

軍指令部では情報が錯綜し、ハイジャックされている便名が誤って伝えられたり、
スクランブル要請をかけ、攻撃の指示の確認をしたり
(指示者は大統領であると確認するのに少々手間取るなど)
混乱の様子が手に取るようにわかります。

管制部(クリーブランドだったかボストンだったか)では管制官が、
ハイジャックされ交信できなくなってしまったため
苛立って立ち上がり、他の者に「俺にこれに専念させてくれ!」と叫んだり
ハイジャック機が別の航空機と衝突しないよう、力を尽くし
レーダーにて2機が重なり、祈るように見つめ、
衝突しなかったことがわかり、ほっと胸をなでおろす。

ニューアーク空港管制塔から、管制官たちが、
対岸に広がるマンハッタンの中で、
航空機が低い高度でものすごいスピードで
ツインタワーに衝突していく様を、
呆然となすすべもなく見つめるシーン。

本人たちであるならば、きっと、
あの日は、まったく同じ状況だったのでしょう。
当時、もし記録している映像があれば、
それをそのまま見ているように思えてならなかったのは
そのためだと思います。
(特に軍の様子は、よくそこまでさらけ出していると
驚きです。)

手を尽くし、力を尽くしてもどうにもならず
自らの無力さを思い知らされ、それでもできることをしようと
試みる地上スタッフたちの姿に、
もし自分が同じ状態にあったとき、
何ができるか、考えさせられてしまいます。

そして、3機が地上の施設に衝突したのを受け、
管制センターのセンター長が全米上空における
飛行制限を決断するシーンがあり、
最初の衝突から確か、およそ3~40分後くらいで
判断していて、まして当時は予想を超えるような事態で
あったわけだから、
日本であそこまですばやく判断できるか、
考え込んでしまいました。



カイシャの危機管理の担当者曰く、
「あの映画、仕事中に見るものかも。」とのこと。
(実際見るかは別にして、本人の仕事そのままの映像
だったという意味です。)

正直言うと、感動する以前に、
どうにも、仕事している気分になってしまって、
非常に疲れました。

残された人がどうすべきだったのか考えさせられますが、
犠牲になった人々への思いは、少々希薄に感じるのは、
職業柄かかもしれませんが、そういうつくりにならざるを得なかったのかもしれません。
たった5年しか経ておらず、いまなお、脅威にさらされているかもしれない
ということがあるからかもと思うのは、うがちすぎでしょうか。
by rudyn | 2006-08-12 12:47 | 日記